「最近ストレスが溜まって、いびきがうるさくなった気がする…」そんな風に感じたことはありませんか?
その感覚、気のせいではないかもしれません。
実は、ストレスと睡眠には密接な関係があり、その影響がいびきの悪化に繋がることも少なくないのです。この記事では、そんな「ストレス・不眠・いびき」の負のスパイラルを断ち切るための、科学的根拠に基づいた具体的なセルフケア術を、今日からすぐ実践できるレベルでご紹介します!
科学的に解説!「ストレス」で眠れなくなる本当の理由
戦闘モードの「交感神経」が暴走する
自律神経には、車で言えばアクセルの役割をする「交感神経」と、ブレーキの役割をする「副交感神経」があります。日中は交感神経が優位になって活動し、夜になると副交感神経が優位になって心身をリラックスさせ、眠りへと導きます。
しかし、強いストレスにさらされると、脳は「危険な状態だ!」と勘違いし、夜になっても交感神経が優位な戦闘モードを解いてくれません。これが「疲れているのに眠れない」状態の正体です。
ストレスホルモン「コルチゾール」の分泌
ストレスを感じると、体は「コルチゾール」というホルモンを分泌します。コルチゾールは血糖値や血圧を上げ、体を臨戦態勢にする働きがありますが、本来は朝に最も多く分泌され、夜にかけて減少していくもの。
しかし、慢性的なストレスはこのリズムを狂わせ、夜間にもコルチゾールが高いレベルで分泌されてしまい、覚醒状態が続いてしまうのです。
見落とされがち!ストレスはいびきも悪化させる
「ストレスは心の問題」と思いがちですが、体にも直接的な影響を及ぼし、いびきを悪化させる複数の原因を作り出します。
・筋肉の緊張:ストレスは無意識のうちに全身の筋肉をこわばらせます。特に首や肩、顎の筋肉が緊張すると、空気の通り道である上気道を狭め、いびきを悪化させる直接的な原因になります。
・歯ぎしり・食いしばり:ストレスによって、睡眠中に歯ぎしりや食いしばりを起こす人がいます。これは顎の筋肉に過度な負担をかけ、気道周辺の筋肉の緊張にも繋がり、いびきを誘発します。
・ストレスによる生活習慣の乱れ:ストレス発散のために、つい深酒(喉の筋肉を弛緩させる)をしたり、夜遅くにドカ食い(肥満につながる)してしまったり…。これらの行動が、結果的にいびきを悪化させることは言うまでもありません。
【新規追加】寝る前の脳を鎮める「デジタルデトックス」のすすめ
現代人にとって、ストレスによる交感神経の活性化を助長している最大の要因の一つが、スマートフォンです。
SNS、ニュース、動画、ゲーム…。これらのコンテンツは、脳に大量の情報を浴びせかけ、ドーパミンを放出して興奮状態を作り出します。 寝る直前までスマホを見ている行為は、脳にエスプレッソを飲ませてから「さあ寝なさい」と言っているようなもの。質の高い睡眠を得るためには、意識的な「デジタルデトックス」が不可欠です。
・就寝90分前:仕事のメールやチャット、SNSのチェックは完全に終了する。緊急でない限り、通知もオフに。
・就寝60分前:スマホを充電器に繋ぎ、寝室とは別の部屋に置く。物理的に距離を取ることが最も効果的。
・就寝30分前:ブルーライトを発しない活動に切り替える。読書(紙の本)、穏やかな音楽を聴く、家族と話す、ジャーナリング(後述)など。
今夜からできる!心を鎮める「快眠リラックス法」
① 思考をリセットする「4-7-8呼吸法」
アメリカの健康指導者アンドリュー・ワイル博士が提唱する方法で、「心を落ち着かせる精神安定剤」とも言われるほど効果的な呼吸法です。
ポイントは、吸う時間より吐く時間を長くすること。これにより副交感神経が刺激され、心拍数が落ち着き、体がリラックスモードに切り替わります。
② 頭の中のゴチャゴチャを書き出す「ジャーナリング」
心配事や不安、怒りなど、頭の中を占拠している感情を、評価や判断をせず、ただひたすらノートに書き出すというシンプルな方法です。
どんなネガティブなことでも構いません。頭の中にあるものを文字として外に出す(=外在化)することで、問題と自分との間に距離ができ、客観的に捉えられるようになります。5分でも10分でも良いので、寝る前に頭の中を空っぽにする儀式として取り入れてみてください。
③ 筋肉の緊張を強制オフする「筋弛緩法」
ストレスでこわばった筋肉を、意識的にリラックスさせるテクニックです。この方法は、いびきの原因となる喉周りの筋肉の緊張を和らげるのにも役立ちます。
1.ベッドに仰向けになり、楽な姿勢になる。
2.体の各パーツに、10秒間ぎゅーっと力を入れて、その後15秒間すーっと力を抜く。これを繰り返す。
3.(例)両手に力を入れて固く握りしめる→力を抜く。肩をすくめて首に力を入れる→力を抜く。顔のパーツを中心に集めるように力を入れる→力を抜く。
4.足の先から頭のてっぺんまで、順番に行っていくのが理想です。
【お悩み解決Q&A】ストレスと睡眠のよくあるギモン
Q1. 色々試しても、頭の中で考え事が止まりません…
A. 布団に入ってから考え事をしてしまうのは、脳が「布団=考える場所」と誤って認識しているサインかもしれません。
そんな時は、「ウォーリータイム(心配する時間)」を意図的に設けるのがおすすめです。
寝る1〜2時間前に、15分だけタイマーをセットし、その時間内は思いっきり心配したり悩んだりします。そして、タイマーが鳴ったら「今日の心配事はおしまい!」と強制的に終了するのです。これを習慣にすると、ベッドでの反芻思考が減っていく効果が期待できます。
Q2. リラックスしようとすると、逆に焦ってしまいます
A. 「リラックスしなきゃ!」と意気込むこと自体が、新たなストレスになることがありますよね。
そんな時は、「何もしない」ことを目指さなくてOKです。例えば、ただ好きな音楽をぼーっと聴いたり、面白いと感じないくらいの単調な本を読んだりするだけでも、脳は自然とクールダウンしていきます。無理に「無」になろうとせず、気を紛らわすことから始めてみましょう。
まとめ:心のケアも、いびき対策の重要な一部
ストレスは、自律神経を乱して睡眠の質を低下させるだけでなく、体の緊張や生活習慣の悪化を通じて、いびきを増大させる隠れた原因となります。
今回ご紹介したセルフケアは、ストレスを軽減し、安眠を取り戻すと同時に、間接的ないびき対策としても非常に有効です。しかし、セルフケアだけでは改善が見られない根深いいびきの悩みには、やはり専門的なアプローチが必要です。心のケアと体のケア、両輪で考えていくことが大切です。